実例

事例とシナリオ

実際の社内テストのストーリーが一つ、そして Intent-System が効いている / 効きそうな状況のシナリオ。まず実話、続いてシナリオの順で並べています。

実話 · 社内テスト

Estivo ── 社内見積もりツールの作り直しを、intent-cli 自身のガイドで進める

Estivo は社内の見積もり・請求書管理ツールで、もともと PHP で書かれていました。社内テストの一環として、これをモダンなスタックで作り直し始めました(V2)── C# と Sekiban イベントソーシングフレームワーク、.NET 10 の BFF の背後に React + shadcn/ui のフロントエンド、認証は Entra ID、ローカル開発は Aspire、ホスティングは Azure App Service。狙いは作り直しそのものではなく、intent-cli を一度も触ったことのないエンジニアが意図フェーズ全体を回せるか ── そして続くセッションで実装ループとレビューループを実際に回し始められるか ── を確かめることでした。まだ初期段階ですが、タスクの実行はすでに動き始めています。

intent-cli が導くのは人間ではなく AI

そのエンジニアは新しい Claude セッションを開き、CI アーティファクトから intent-cli をインストールし、Claude にこう伝えるだけでした ── 「intent-cli に聞いて、その通りに進めて」。intent-cli が配るのは AI 向けのガイダンスで、人間向けのマニュアルではありません。人間はそれを読みません。Claude がそれを読み、ワークフローと意図を構造化するルールを学び、セッションを進めます。重要なのは、intent-cli 自体には AI 機能が一切ないこと ── 中身は厳選されたプロンプト群と、意図メタデータを書き換えるコマンドだけです。考えるのは操作者自身の LLM なので、AI のコストはホストを動かす人が負担します。

これが Intent Storming ── あなたはヒアリングを受けるプロダクトオーナーになる

そこからエンジニアは、プロダクトオーナーのように、目的とアーキテクチャを普通の言葉で説明していきました。intent-cli に導かれた Claude は、それを構造化されたインタビューに変換します ── 未決定の論点ごとに、背景・選択肢・それぞれの利点と欠点・推奨を提示してから質問する。これが Intent Storming です ── プロダクトオーナーとして技術と意図をまとめていく作業。ここではチームのワークショップではなく、一人のエンジニアと AI だけで進めましたが、同じプロセスです。ツールにプロンプトを打っているというより、自分が元請けとして開発会社のマネージャーと話している感覚に近いものでした。答えはそのまま構造化された意図ツリーとして記録され、packet に切り分けられ、一つずつ GitHub Issue として切り出されて、3 スレッドのループが拾っていきます。

ビルドループが回り始めた ── 3 スレッド、1 リポジトリ

続くセッションでは 3 スレッドのループが本番稼働し、タスクの実行がしっかり動き始めました。人間は設計スレッドに残り、2 つの AI スレッドが 5 分周期で無人で回ります ── 実装(Sonnet)とレビュー(Opus。あえて強いモデルを当てています。ビルド失敗や抜け漏れを捕まえるのはレビュアーだからです)。各スレッドは同じリポジトリの別々のチェックアウトで作業するので、互いに衝突しません。packet が GitHub Issue になり、実装スレッドが PR を開き、レビュースレッドがそれを意図と照合して、承認してマージするか、差し戻しの修正コメントを残すかします。最初の packet ── hello-world の縦割りスライス ── が implement → review → repair → 再実装 → approve → merge まで一気通貫で進み、マージされた瞬間にループが次の Issue を切り出して再び動き出す様子を、その場で見届けました。GitHub の Issue 一覧そのものが ── ステータスラベル(作業中・再レビュー待ち・修正依頼・承認済み)と「最終更新順」の保存ビューを組み合わせて ── 「どこかで止まっていないか?」という唯一肝心な問いの単一ダッシュボードになりました。

正直なところ、まだ初期段階です。10 回に 1 回くらいは止まります ── たいていは Windows / PowerShell の文字コードの引っかかりか、エージェントが文脈を見失うケースです ── が、対処はコードを手で触ることではなく、設計スレッドに「これは進むべきだから修復して」と伝えることで、ほとんどの場合それで復帰します。この日の率直な学びは、人間の仕事が変わりつつあるということでした ── コードを書く時間は減り、AI を止めずに走らせ続けること、そして AI から届くプロダクトオーナーへの質問に答えることが、仕事の中心になっていきます。

技術力は今も要る ── そしてそれが効く

これは「技術力が要らない」という話ではありません。スタックを選ぶこと、提示された選択肢を判断すること、意図がドリフトし始めたと気づくこと ── どれも本物のエンジニアリング判断を必要とします。けれど裏を返せば、そこが心強い点でもあります。技術力のある人であれば、intent-cli の経験がまったくなくても、初回からしっかり構造化された意図をまとめられた ── 方法は intent-cli のガイダンスが運び、思考は本人の Claude が担ったからです。意図フェーズの実行はほとんどミスなく、思った通りに動きました。ビルドループはまだ新しく、人間がそばにいる必要はありますが、すでにマージ済みの PR を生み出し始めています。

より一般化すると

同じ形が効くシナリオ

長時間タスクで漂流しない AI エージェント

課題

自律エージェントが単一セッションより長く動くと、spec から外れます。

Intent-System が助けるところ

Intent ツリーはセッションをまたいで生きる安定した参照点。各エージェントランは canonical な intent に根を張る。

結果

Drift はプロンプト長ではなく、ツリーの傾斜で制限されます。

デザイン意図とアーキテクチャ判断の橋渡し

課題

デザイナーは Figma コメントを書き、エンジニアは ADR を書きます。両者は決して合致しません。

Intent-System が助けるところ

プロダクト体験・目的の意図と技術の意図は、同じツリーに同居します。対立はクラリフィケーションとして浮上し、merge での争いにはなりません。

結果

PM は一つの真実の源を見ます。デザイナーは自分の意図がアーキテクチャを制約する理由を見ます。

新人エンジニアの複雑ドメイン onboarding

課題

コードベースを読んでも、なぜその判断がなされたのかは分かりません。why は誰かの頭の中にあります。

Intent-System が助けるところ

Intent ツリーは人間が最初に読みます。そしてツリーから切り出された GitHub Issue は、関連する意図のスライス(アーキテクチャ・契約・UI パターン)を最初から受け継ぎます。新人エンジニアは、これから取り組む Issue のなかに why が書かれた状態で仕事を始められ、Slack で聞き回る必要がありません。

結果

Onboarding は一回限りの会話ではなく、再現可能な「ツリーを読む → Issue を読む」になります。

Issue 駆動の実装と意図に紐づいたレビュー

課題

文脈の薄い Issue は、漂流する実装と「個人の好み」に頼ったレビューを生みます。

Intent-System が助けるところ

各 Issue は意図ツリーからコンパイルされ、関連するアーキテクチャ・契約・UI パターンが最初から添付されています。実装者(人間でも AI でも)は十分な文脈を持って手を動かせます。レビュアーは PR を意図のスライスと比較し ── こだわりたい点はクラリフィケーションとしてツリーを昇格させ、こだわりのない点は AI の推奨案を受け入れる。AI 支援開発で最もレバレッジの効くスキル「分かりやすい Issue を書くこと」が日常になります。

結果

「分かりやすい Issue を作る → 実装が迷わず進む → 意図に紐づいてレビューする」というループ全体が、漂流もレビュー疲れも少ないまま高速に回ります。

「なぜ」から出荷コードへのトレース

課題

監査とコンプライアンスは、出荷後何年経っても機能がそう振る舞う理由を知る必要があります。

Intent-System が助けるところ

Closeout が diff を canonical として Intent ツリーに書き戻します。各 merge は intent のパンくずを残します。

結果

振る舞いから意図への追跡はツリーを辿るだけ。考古学プロジェクトにはなりません。

上の Estivo は、自社プロジェクトでの実際の社内テストのストーリーです。このセクションの 5 つは、社外の具体的な事例ではなくシナリオとして整理したものです ── 固有名でご紹介できるパートナーができ次第、改めて掲載します。Intent-System をすでにお使いで掲載をご希望の場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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